麒麟が来るが中止?

中止するほど大変な日本近海面高温化

麒麟が来るの第23回放送が中止となりました。つい先週再開したばかりなのに。今年はずっと見ていたので大変残念です。
理由は台風10号で、緊急避難警報を出すほど大型台風であると、24時間前から思われていたので、台風のニュースを流すためだと言うことです。しかしいざ近づいてみると、中心気圧が恐れられていたほど低くはなく、緊急避難警報を出すには至らなかったそうで、これを書いている段階では、まだ九州南部にいますから安心は出来ないものの、被害が恐れられたほど大きくなさそうなのは良かったと思います。

以前から問題だった高温化

実は理科年表でみると、日本付近海面高温化は以前から解っていました。私は2年前東京から京都に移ってきたのですが、ちょうどその夏の関西は、7月に梅雨明けの豪雨があり、またその後台風21号が関西を襲ったりして大変でした。その時に私はこの異常気象は日本近海の海面水温上昇と関係があると、多くの人達にも警鐘をならし、また千年文化を考える会のHPにも警鐘をならしています。
>>千年文化を考える会の2年前の記事を見る
またその時に見た国立天文台が発行している理科年表の対応ページをコピーして貼り付けます。

国立天文台編 理科年表 平成30年版より転載

このように明らかに日本近海海面が高温化しているとあります。また日本近海の上昇は、世界全体の平均より高いと書かれています。
昨日の段階で気象庁の警報は、まず海面水温の上昇を示し、海面水温が今年は高いので台風が強いまま日本に近づくと警報を出していました。私の2年前のHPでは同じ理屈を述べていることが確認できます。海面水温が高ければ、台風はあるいは豪雨は強まるのです。それは熱力学的な一般論で、つまり基本的な物理学から、導くことが出来る結論です。

海面水温が高くなれば台風は強くなることは、カルノー理論で示されている


事実熱機関の基本的理論を考究し、熱力学の基礎を築くのに大きな貢献をした19世紀のカルノーの論文「火の動力、および、この動力を発生させるに適した機関についての考察」の書き出しは次のように始まります。有名なカルノーサイクルを提示したその論文の出だしです。

熱は運動の原因になることができ、しかもそれが非常に大きな動力をもつことを知らぬ人はない。今日広く普及している蒸気機関が、そのことを誰の目にも明らかにしている。
熱こそ、地球上でわれわれの目にはいる大規模な運動の原因となるものである。大気の攪乱、雲の上昇、降雨、その他もろもろの大気現象、そしてまた、地球の表面に溝を掘りながら進む水の流れー人間はそのごく一部を利用しているにすぎないーなどは熱によるものである。地震や火山の爆発の原因もまた熱にある。

カルノー・熱機関の研究 広重徹 みすず書房(1973)より カルノー「火の動力について」出だし

このようにカルノーは熱機関の一般理論を考えるにあたって、大気の攪乱、雲の上昇、降雨、その他もろもろの大気現象を最初の例として考えたのでしたが、台風はまさにその典型であるわけです。そしてこのカルノー理論では、熱機関は高温部から低温部への熱エネルギーの流れを利用するものであり、その効率(強さ)は高温部の温度が高くなるほど強いというのがその結論なのです。カルノーサイクルを言葉で表したらそうなります。
また海水面温が高くなれば、運ぶ熱エネルギー自体が大きくなります。水蒸気は気化することによって熱エネルギーを大量に保ちますが、水温が高くなったことは、それだけ大量の熱エネルギーが低温部に流れ出すことを意味します。海水温が上がれば、熱機関(台風)は強くなることを、19世紀にすでに理論化したのがカルノーなのです。興味がおありの方は、下記より新装版をご購入できます。

カルノー理論が日本近海海水温上昇も説明する

何故日本近海海水温が上昇したのでしょうか? それについてもカルノー理論から強力なヒントが得られます。私は二年前からカルノー理論からでてくるその説明をしているのです。
現在カルノー理論で説明しなければならない最大の熱機関は火力発電(原発を含む)です。火力発電はまさに火の動力です。火は高温部を作ります。そして海水を低温部として熱の流れを作ります。熱が海に向かって流れるのです。
事実熱機関では高温部だけではなく、低温部が必要であることはカルノーが上の著作で強調しており、その重要性は訳者の広重徹(物理学者から物理学史家に転ず)が上記の本で強調しています。よく熱機関は冷却が必要だという言い方がなされますが、それこそ物理の本質を理解していない言葉で、熱機関には低温部が不可欠であり、高温部からの熱の流れを受け止めなければならないのです。
その流れの一部が電気になります。そして電気になるのは高温部から流れる熱の約40%、残り60%は海に流れます。高温部から流れる熱は、火を燃して発生する熱エネルギーです。発生した熱の40%が電気に、残り60%は海へという訳です。原発はもっと効率が悪くなります。この海に流す熱が日本近海の海水面を暖めていることはカルノー理論で明らかなのです。現代日本人は莫大な電力を火力発電並びに原発から得ていますが、それ以上の量の熱を海に流しているわけです。この莫大な量の熱の一部が、海面(高温)から上空(低温)に流れ、台風という熱機関を強めているのが、台風の巨大化に大なり小なり寄与しているのは間違いありません。

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えねるぎぃっ亭南駄老でした。難解なカルノー理論の解説は私も下記の本で試みています。

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