はやぶさ2無事帰還おめでとう

46億年の歴史を持つ太陽系を研究する大きな意味

太陽系はおよそ46億年前に生まれました。巨大な空間に存在するガス体が徐々に収縮し、長い時間をかけて渦となって回転しながら、渦の中心とその周りに、固まっていきました。収縮を引き起こす原動力は重力、形成される渦を支配する法則は、三つの保存則、エネルギー保存則、運動量保存則、そして角運動量保存則です。
始めガス体だった原始太陽系は、徐々に中心と周りに天体を作り出して行きました。後に中心の天体は太陽に、周辺の天体は惑星を初めとする太陽系の天体達。その中に小惑星も含まれます。
現在の宇宙の温度は3K(マイナス270℃)ですが、46億年前はもう少し高温だったでしょう。それでも極低温の宇宙空間に漂う天体達は冷たく冷え切っていました。ただ中心に位置する天体だけは巨大であり、そのため質量も大きく、したがって重力も大きなものでした。その巨大な中心天体は、巨大な重力のため激しく収縮していきます。中心天体の各部はどんどんその中心に向かって落ちていき、位置エネルギーを失っていきます。エネルギー保存則から失われた位置エネルギーは他のエネルギーに変わっていきますが、自由空間で落下する物体が運動エネルギーを増すのに対し、周囲を密な物質で囲まれたこの天体では、熱エネルギーに変わっていきます。こうして渦の中心にある巨大な天体の中心部の温度は、どんどんと高くなっていきました。渦の中心をなす天体の構成要素は、ほとんどが水素です。何故なら水素は宇宙創生期に出来たほとんど唯一の元素で、現在に至るまで、宇宙の主たる構成物だからです。

巨大天体の中心部で核融合反応が始まり太陽系の歴史が始まった

こうして超高温になった中心にある天体の、さらに深い内部では、核融合反応が起き始めます。一番軽い元素である水素の原子核が、一連の核融合反応の結果、二番目に軽いヘリウム原子核に変っていくのです。このとき質量が0.7%ほど減少します。アインシュタインの相対性理論の予言通り、減少した質量の分だけ、巨大なエネルギーが放出されます。このエネルギーは中心部で発生しますが、徐々に天体の表面に移動していって、最終的に天体の表面から宇宙空間に向けて放出されることになります。これが太陽光であり、この中心天体こそ太陽です。莫大な太陽光が、地球を含む太陽系の天体に到達し始めたのです。
そのエネルギーが地球に様々な現象を生み出します。風雨を含むあらゆる気象現象は、太陽のエネルギーを受け継いで、風や流れ落ちる水のエネルギーになります。
太陽のエネルギーを受けて地球表面では様々な変化が起こりました。生命も生まれました。生命も太陽エネルギーを受けて活動します。生命のエネルギーは、元々は太陽からのエネルギーです。光合成によって、H2OとCO2から有機質が作られますが、そのとき中学の理科で習うように太陽光が必要となります。光合成は太陽の光が当たらないとおきませんが、それは光合成が太陽エネルギーを閉じ込めているのです。有機質は言って見れば太陽エネルギー貯蔵庫でもあるのです。生命体は代謝によって有機質から蓄えたエネルギーをもらい、生命活動に必要なエネルギーに変えているのです。有機質に蓄えたエネルギーを貰うため、動物は他の生命体を食べます。食物連鎖で太陽エネルギーが次々と受け継いでいかれます。
地球はこのような歴史を長々と刻んできました。46億年の間。初期の生命体が生まれ、そして緩やかに進化していきました。生命活動は繰り返され、生命はその時の太陽エネルギーを活動のエネルギーとして使い、また他の生命体に自らの体を犠牲にしてエネルギーを渡し(つまり食べられ)、あるいは死後腐敗してエネルギーを解放し、このようにして太陽エネルギーは生命間を渡り歩いて使われ、そして解放されてきました。ごくごく一部が、化石燃料として蓄積されてきました。
ごく最近になって人が生まれました。人は唯一火を使う生命体として「知的活動」を行いました。しかし長い間燃料はその時の生命体(今でいうバイオマス)でした。そして今からわずか250年ほど前、化石燃料である石炭を大量に消費し始めたのです。

長い歴史の中で化石燃料時代は短い

化石燃料は有限です。有限なエネルギー源を使う歴史は、必然的に有限の長さしか持ちません。そして化石燃料消費は、様々な弊害を生んでいます。
これから人類はどれほど存続するのか? 太陽は現在その生涯の半分ほど生きただけです。太陽は後50億年ほど存続します。人類の文明が始まって5000年ほど。その最近の250年ほどが、大量の化石燃料に頼った時代になります。長い歴史の中で、ほんの短い時代なのです。そして化石燃料に頼る時代は後数十年。菅内閣が2050年までにCO2排出ゼロと言っていますから。世界の世論に後押しされた結果とは言え、世界の世論が2050年までにCO2排出ゼロにしよう、すなわち化石燃料を消費しない社会にしようと言っているのです。
化石燃料を使わなくても、エネルギーを消費することは出来ます。人類には巨大なエネルギー源ー太陽ーがあるのですから。46億年前から。はやぶさ2の快挙に久しぶりの勇気をもらったと感じた人は多いでしょう。はやぶさ2はこの素晴らしい、太陽を中心とした太陽系という豊かな真実を探索しているのです。

我々の祖先は太古より太陽系をイメージしている

古事記の冒頭の文は、太陽系の始まりを彷彿とさせます。古事記はこのように始まります。

それ、混元すでに凝りて 気象未だ現れず

この文を広辞苑にしたがって解釈してみます。「気象」を引いてみますと次のような解説が広辞苑では与えられています(手元の第四版)。①宇宙の根元とその作用である現象。そして上記の文が例として紹介されます。そして実際古事記を読めば、その冒頭にあることが解ります。気象という単語は、日本語での最古の文献にあるのです。そしてその後③大気の状態および雨・風・雷など、大気中の諸現象。
もちろん現在気象とは③の意味で使われています。
広辞苑は超博識であった新村出さんが、百科事典的に使うことが出来るようにという認識で編集にあたられたことは有名です。単なる単語の説明ではなく、その出自にもこだわって編集されたと言います。
例えば面白い例がポントという単語にあります。「ポントは点の意」これは実際ポルトガル語でポントは英語のポイントにあたります。そして広辞苑ではポントの例として先斗町が上げてあり、カルタ賭博などで真っ先に金をかける意か とあったりします。
話を戻します。現在の意味の気象は③の意味ですが、この気象が何故起こるかと言いますと、太陽エネルギーのおかげで起こるのですね。自然エネルギーの多くが③の意味の気象を利用したものです。風力、水力(雨が元になる)、波力(風が波を生む)、バイオ(太陽エネルギーの閉じ込め)。
気象を①の意味でとらえ直してみましょう。太陽エネルギーが生ずるすべての現象、と考え直してみましょう。地上のありとあらゆる現象は太陽エネルギーが生み出したものであると考えられます。
その上で、上記の古事記の文を解釈してみましょう。混元すでに凝りては、広大な宇宙の空間の中で、何かがすでに固まっている状態を指しています。気象未だあらわれずは太陽エネルギーが未だ放出されない状態と考えれば、古事記の上の文は宇宙創成の記述と取れないでしょうか? 私は広辞苑を開いて気象はどのように解説されているかを調べたとき、①の解説を見て本当に動転しました。現代物理学が解明した太陽系創出の、緊迫の情景をまさに表しているではないですか?
古代のロマンと太陽系のロマン、それを結びつける研究をはやぶさ2がやっているのかも知れません。

えねるぎぃっ亭南駄老でした。

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