コロナ禍の中での熱中症対策の物理的考察 4 放射

この記事はシリーズです。1から読んで頂けると、より一層の理解を得られます。
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放射熱1 太陽からの放射

夏暑いとき、すでに書いたように室温を28℃あるいはそれ以下に抑えることが大切です。そのためにエアコンは必須のアイテムでしょう。効率よくエアコンを使うことが、非常に大切です。「エアコンちっとも効かないね」良くある経験ですよね。そこで簡単な理科の応用(物理的思考法)が必要になります。
夏は冬以上に部屋に応じた工夫が必要となります。何故かというと、部屋の外から熱が入る仕組みが複雑だからです。はっきり言って、下手な対策は全く意味を持ちません。窓のカーテンを工夫しても、断熱材を壁に補強しても多くの場合、意味はありません
熱が伝わる仕組みには、放射・伝導・対流があることは学校の理科で皆さん習ったでしょう。その三つの仕組み(伝わり方)の理解をしっかり行った対策でないと、夏の省エネ対策には役に立たないのです。中学の理科のおさらいと思って、夏の省エネ対策を考えましょう。この記事では、放射について考えます。伝導と対流は次の記事で取り扱います。

当たり前のことですが、太陽が夏暑い原因です

ごく当たり前のことから始めましょう。
何故夏は暑いのでしょう。もちろん太陽が理由ですね。まず太陽が高いこと。南中した太陽が夏は高いですね。またもう一つは昼の長さが長いこと。この二つの単純な理由で、夏は冬より太陽からのエネルギーが大きくなるので、結果的に暑くなります。
昔しばらくポルトガルにいたことがあるのですが、なるほどと強く納得したことがありました。ポルトガルの夏は通常雲一つなく晴れ、太陽がさんさんと照りつけます。雨が降らない日が何日も何日も続きます。気温は40℃近くまで上がるのはざら。それでも湿度が高くないので日陰に入ると涼しいのですが、ここに重要な工夫がありました。それはほとんどの家の壁が真っ白なのですね。
エーゲ海の観光案内でおなじみの風景です。あれがポルトガルでもあるんですね。そして行って見るとその理由がよく分ります。太陽光を強く反射して、結果的に太陽エネルギー(つまり熱エネルギー)を家の中に入れないのですね。これだけで家の中が暑くならずに済んでいるのです。太陽光を遮断するのが、如何に大切かが解ります。

すだれはよく考えられている優れものです。正しくかけましょう。

日本にも伝統的に夏の太陽光を遮断するしくみがあります。すだれです。夏の太陽を遮断するための王道として、すだれを考えましょう。
特に西日対策として、すだれは重要です。西に面した窓を暑いときに使わなくてはならない場合、窓をそのままにしてはいけません。必ずすだれで覆いましょう
すだれは窓の内側にではなく外に付けて下さい。何故か? 
すだれは太陽光を受けて熱くなります。すだれが熱を帯び、その熱を周りにはき出します。窓の内側にかけると、室内に熱を放つことになり、意味をなさなくなります。外に付けると熱は外気に流れ、室内への影響はずっと小さくなります。試しにある日は外に、別の日は内側に取付けることが出来れば、試して下さい。違いがよく分るでしょう。何事も実際にやってみる。これが科学マインドを育てます。
下に通販へのリンクを張ります。すだれで検索すると商品が示されるので、そこからお好きな品物をご購入されては如何でしょうか? それぞれ通常の通販ですから、通常にお買い物が出来ます。ただこちらからお買い物をして頂くと、新たなポイントがつき、それが当会(NPO法人千年文化を考える会)への寄付となって、当法人の活動をサポートして頂けることになります。

放射熱2  ベランダ等の床からの放射熱

ベランダやテラスは大丈夫ですか? ベランダやテラスは通常日当たりが良いところに設置されていますね。言い換えればたっぷりと太陽からのエネルギーをもらっているのです。そうすれば当然ベランダやテラスの床温度が高くなります。
窓の外にあっても床温度が高くなれば、放射によって室内に多大な影響を持ち得ます。
温度が高いものから低いものへ、熱エネルギーが流れる仕組みの一つが放射です。太陽表面はおよそ6000℃と高温ですから、温度が低い周囲の宇宙空間へと放射して、エネルギーの流れを作り出しますが、これが太陽光です。
テラスの床が高温になると、やはり周囲に向かって放射を出して熱エネルギーを流そうとします。もちろん床は太陽の表面ほどには温度は高くなりませんから、目に見える光は出しませんが赤外線を出します。
コロナで急速に見るようになった体温を測る装置。おでこに近づけるだけで温度が解ります。あれはおでこから出る赤外線を感知して、直ちに温度を測る方法です。脇に体温計を挟むといった悠長なことをしなくても、簡単に体温が測定できるのは、赤外線を感知するためです。
さて太陽で暖められたベランダやテラスは高温になり、赤外線を放出します。すだれは体積が小さいので、放出する赤外線も少なく、さほど気にする必要はないのですが、テラスやベランダの放熱は馬鹿になりません。大量の熱エネルギーが、窓を通して入ってきます。これを出来るだけ抑えないと、いくらエアコンをかけても、部屋がちっとも涼しくならないねということになります。
この対策には様々な工夫が必要で、それぞれの場合に応じた手段で考えなければなりません。ですがその方法は大きく次の二通りに分けられます。

ガーデンパラソル

テラスが充分広いときに有効でおしゃれな方法は、ガーデンパラソルを置くことではないかと思います。ガーデンパラソルと簡単なテーブルとチェアーを置いて、テラスで冷たい飲み物を飲むとか。この方法はすだれと同じく、太陽光を遮断する方法になります。
ガーデンパラソルを置くことによって、テラスに当たる日光を遮断し、テラスの床の温度が極度に上がるのを防ぐわけです。結構効き目があると思いますよ。それ以外でも床に当たる日を遮断する方法を、テラスやベランダの大きさや形に応じて考えるといいと思います。すだれを広げてベランダを覆うとか。上の通販でもガーデンパラソルで検索すれば、色んな製品が出回っていると解るでしょう。

ミストシャワー

何かで日よけを作ると言ったやり方が上の段でご説明した方法になります。
もう一つ方法があります。このシリーズの最初にご説明したように、熱中症予防で水分の補給が必要な訳は、体から熱を発散させるために、汗をかかせることでした。汗が乾燥する気化熱で、体から熱を逃がすのです。
いわばベランダに汗をかかせる方法もあります。京都ではバス停などでよく見かける方法となりました。空中に霧を作り出す方法です。ミストシャワーと言いますかね。
水を霧状態で空中にまくと蒸発しやすくなります。蒸発した水は、空気から大量の熱を奪います。昔日本ではごく当たり前に行われていたまき水も同じ原理です。昔はむき出しの土が多かったので、水をまくと土が吸い込み、それだけ大量の水を土に与えることが出来ます。したがって土が乾燥しきるまで蒸発する水の量が多く、一方ではヒートアイランドによる都市の高温化もなかったので、昔のまき水は効果的でした。しかしコンクリートを打った地面では、水を吸い込むことがなく、まき水は現在ではあまり効果を望めないことになりました。
常に霧状態で水をまくのがミストシャワーです。それだけ大量の水を蒸発させることが出来ます。京都駅前のバス停などで経験すると、結構効果がある感じがします。
原理的に同じ効果を与えるのが、いわゆる緑のカーテンです。植物は大量に水を欲します。これは葉に蒸散作用があるからです。つまり葉が水の蒸発を行っているのです。
葉の表側は緑が濃いですね。葉緑素が豊富で、陽の光をもらって光合成をするためですね。光合成は太陽エネルギーを炭水化物のエネルギーに蓄える仕組みで、すべての生命体が太陽エネルギーを使って活動する、生命体のエンジンの役割を果たします。そこで葉の表側は太陽エネルギーをがんがん受ける使命があるわけですが、そのままでは夏の太陽のエネルギーを受けて葉が熱くなります。そこで裏側に気孔をたくさん設けて、蒸散作用で葉の温度を下げているのですね。素晴らしい生命の仕組みです。
葉が緑色だから何となくエコだろうというイメージではなく、葉の蒸散作用が熱を奪い去る効果を持つという理解が必要です。もし可能なら、ベランダに鉢植えの花を置きましょう。ただし水をたっぷりとあげて。水やりをしたくないからサボテンなどあまり水をまかなくて済む植物をと考えてはいけません。水を蒸発させるために植物を置くのですから。
ミストシャワーなども上記通販で検索すると様々な製品が出てきますからご参考までに。

まとめ

この記事では、太陽の光を部屋に入れない工夫をすることと、部屋の外部の床などが高温になって、そこからの赤外線を部屋の中に入れない工夫をお伝えいたしました。原理が解れば応用もわかるという例として、納得して頂ければ幸いです。

夏の暑さ対策にはカーテンはあまり役に立ちません。例外として東向きのオフィスなどで、白いブラインダーがあれば、前日の帰りがけに忘れずブラインダーを閉めておけば、朝陽を遮断して、出勤したとき部屋が涼しいという程度の効果は期待できます。
この場合も、もしすだれを外に付けることが出来れば、太陽光の遮断はもっと効果的に行えるはずです。ただ高層ビルのオフィスなどではそれは無理でしょう。高層ビルでエコは難しいのです。

えねるぎぃっ亭南駄老でした。

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