コロナ禍の中での熱中症対策の物理的考察 5 断熱

部屋の断熱性を高めよう

エアコンをかけてもなかなか涼しくならないと感じるときがあるでしょう。それはせっかくエアコンで部屋に冷たい空気を作り出しても、外から熱が流れ込み、部屋の温度が上昇するからです。
高温部と低温部が接しているとき、高温部から低温部へ熱(熱エネルギー)の流れが出来ます。これが温度と熱を考えるとき、常に基本となります。
このシリーズを最初から読んだ方は、汗について考えたとき、同じ基本を基に考えたのを思い出して下さい。外気温が体温より高くなれば、人の体に外部から熱エネルギーが流れ込みます。人の体からは、常に熱エネルギーが外部へと流れなければならないので、人は汗をかき、汗を蒸発させることで、体を健康な状態に保ちます。
>>このシリーズの最初の記事はこちら
夏暑いとき、部屋の温度をエアコンで下げても、外部は暑いままですから、外部から熱エネルギーが室内に入ってこようとします。
それを避けるためには、部屋の断熱性を高める必要があります

日本で断熱性が重視され始めたのは、ごく最近になってである

エアコンがない時代、日本の住宅建築では、断熱性はほとんど考えられていませんでした。日本の伝統建築物は、夏出来るだけ涼しく過ごすことに主眼が置かれていました。それには風通しが家全体で良くなるように工夫することが一番でした。
風通しを良くすることで、家のすべての部分で、湿気や熱がこもらなくて済み、したがって比較的涼しく、また木で出来た家に過度の湿気が溜まることを防ぎました。
これは去年まで常に言われてきたことで、日本の木造建築の仕組みを理解する鍵でした。でもコロナで換気が重視されることになって気がつくのは、日本の住宅は換気性も考えられていたんだということです。昔から疫病退散が国民的願いの第一番に来る日本は、疫病感染に強い仕組みを長い歴史の中で積み重ねてきたのではないかと考えられます。
いずれにせよエアコンがない時代には、断熱性という考えは、重視されなかったことになります。エアコンが出来て、部屋の断熱性が重んじられるようになりました。したがって日本住宅と断熱性を両立させるのは、それほど簡単ではなく、高度の技術が求められます。
また鉄筋コンクリートの現代建築でも、あまり環境負荷を考えない建築物では、断熱性が重視されていない例がたくさんあります。

多くの部屋で断熱性が一番弱い部分は窓である

断熱性とは熱の流れを遮断することです。冬厚い服を着たりマフラーをしたりするのは、断熱性を高め、体内から体外への熱エネルギーの流れを遮断することに他なりません。手袋や帽子ブーツなどもすべて同じ目的です。
要は体の表面を出来るだけ隙間なく、厚い布地で覆うことで、熱が流れにくくするのです。
夏の部屋も同じことで、出来るだけ部屋を隙間なく、断熱性が高い材料で覆う必要があります。
もちろん第一に気をつけることは、空気の流れを遮断することです。これは換気と矛盾しますが、換気は時々効果的に手早く行うほうが、熱を逃がしにくいので、換気は時々窓を開けることで行い、それ以外では出来るだけ空気の流れを止めてやるほうが良いでしょう。
空気の流れを除いたら、一般的に一番断熱性が悪いのは、窓であることが多いです。

窓に接した空気の対流が、部屋に熱を持ち込む

夏暑いとき、窓ガラスやサッシを触ってみてください。結構熱くないですか? 熱いと言うことは断熱が低いことを意味します。熱ければ部屋に熱を持ち込みます。何か工夫しなければ。
まず外からの放射熱が入っていないか確認しましょう。外からの放射熱とは、太陽光、それにテラスの床などからの照り返し(正しくは熱くなった屋根や床などからの放射熱)です。これらを防ぐ方法はこのシリーズの4で述べたように、窓の外部におく簾などの工夫です。放射熱はガラスを通ってしまいますから、放射熱をうまく遮断するのが第一歩になります。
>>放射熱を遮る方法はこちら(シリーズ4)

それをやっても窓が熱ければ、更なる工夫が必要です。断熱カーテンなどの宣伝が時折目につきますが、カーテンはあまり役に立ちません。何故か?
窓が熱くなれば、熱は対流で伝わるからです。
冬寒いときにマフラーをして服の上部を閉じます。しかし女性はスカートを結構平気ではいています。スカートの下の開きは、服の上部の開きより大きいでしょう。でもスカートは開いたままで構わず、首回りは閉じてなければならないのは何故でしょう?
答えは単純です。暖まった空気は軽くなり、上に流れるからです。スカートに包まれた空気は暖まり、上に流れようとしますが、上が閉まっていて流れない、この状態だからスカートは良いのです。
熱くなった窓で考えて見ましょう。窓で暖められた空気は上昇します。カーテンで仕切っていても、カーテンの上の隙間をカーテンが埋めてくれることはありません。カーテンは役に立たないのです。例えカーテンの布地が断熱素材であっても。

窓に接した空気が上に逃げない工夫が必要である。

これは少し難しい注文ですね。方法の一つは窓ごと取り替えることです。窓を二重ガラスにし、窓のサッシも断熱性の高いものにします。ただこれを完全に行うには素人では難しいでしょうし、注文仕立てでは結構値が張るでしょう。

DIYでやる方法もあるようです。このページにリンクがある通販のページに入って、二重窓で検索すれば、様々な製品が置いてあります。DIYに慣れた人は、良く説明を見た上で利用するのもありかと思います。要はきっちり上部に隙間をなくすることで、空気が上から逃げていかない構造を作ることです。カーテンと違って多少の見栄えの問題は出てくるでしょうが。

冬場は全く逆で、下部から空気が逃げていかない構造を作る必要があります。この場合、丈が長い床まで届く断熱性が高いカーテンでも充分となります。ゆったりとカーテンにフレアを着ければ、壁との隙間はなくなり、床まで届くカーテンを用意すれば、上があいていても、窓で冷やされた空気は下に流れますから、空気の流れを遮断することが出来ます。これはまた秋が深まった頃ご説明します。カーテンだと見栄えの問題はなくなりますね。

夏の極度に暑いときだけ、見栄えは全く気にしないとなれば、大きな紙を窓枠に貼ることでも凌ぐことが出来るでしょう。やはり通販のリンクから模造紙を検索すれば、各種模造紙がありますから、窓のサイズと合わせて購入し、ご自分で紙をカットし、テープなどで貼り付けるという、まあ味気ないですが簡単な方法でも効果はあるはずです。貼り付けるとき、空気の層が窓と模造紙の間に出来、その空気が上部と両脇から逃げないようにすることが肝心です。下は隙間があっても構いません。上に記述したスカートとマフラーの例えを思い出して下さい。はがしたテープの跡が、秋になって残らないようにする工夫が必要になりますが、手軽で間違いなく有効な方法であると思います。

いずれにせよ夏を如何に涼しく過ごせるか、日本の四季を通じて、一番悩ましい問題ではあります。熱の流れを意識して、上手に対応していただけたらと願っております。

上に述べた方法は、エアコンが使えるという想定の話です。エアコンがない部屋では、この記事の最初に述べたように、風通しをよくすることが重要で、それが昔からの日本的なやり方です。ただし昔と違ってヒートアイランドで、都会が暑くなっていますから、コロナと共存しながら過ごす今年の夏は、かつてない嫌な夏になりますね。

まとめ

夏暑いときエアコンが効かないことがあります。それは部屋の断熱性が低いことに由来します。断熱性が一番低いのは、多くの場合窓です。熱くなった窓に接した部屋の空気が、上昇し天井を伝い部屋を循環します。その流れを遮断する方法をご説明しました。窓ともう一つのまくの間に空気の層を造り、その空気が上から逃げないように工夫するのです。

えねるぎぃっ亭南駄老でした。

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