データで見る検証

コロナ禍が始まってつくづく思います。政府にもマスコミにも絶望的なまでに蔓延する基礎的な科学思考の欠如を。皆さん「文系」なんですね。何を大げさなと思われるかも知れません。でも簡単なことです。データを全く生かそうともしてないのです。このようなことを書くのは、一切感情をぬきにしてです。非科学的に思考すれば、先を誤ります。また感染症のお医者さんだからって、ここでいう科学的でない可能性もあります。ここで書くのはあくまで統計によるデータ解析の話で、疫学とは関係ありません。ここで明らかにしたいのは、データから素直に東京が感染の主たる発信源であるということです。皆さん直感的にそう思っているでしょう。でも古い思考を捨てたがらない20世紀のオジさん達は、東京が感染源ではないと、様々な形で言うでしょう。そして気がついたら、いつの間にか東京が日本で一番進んでいるという、昔からの迷信に人々が戻るでしょう。それを一番恐れます。
ちょうど私は3.11を思い出します。あのとき私はこれで東京一極集中の終わりが始まると考えたものでした。皆が原発を心底恐れました。原発を使いたくなければ、自然エネルギー指向を進めなければなりません。ただしそれは東京一極集中を避け、地域分散型に日本を変えて行かなければなりません。しかし東京の偉い人達は、東京重視を変えることが出来ず、いつの間にか「復興」オリンピックを持ってきました。復興するのは東北のはずなのに・・・。これも恐ろしく非科学的な議論が導きました。原発推進あるいは原発容認の「科学者」「専門家」達も、非科学的な議論を支持しました。本質的な問い-基本的な科学的姿勢-に目を背けて。
今回なるほど毎日データが放映されます。都知事が毎日出てきて神妙顔でメッセージを発します。あれ女帝だから出来るのだよな。男帝だったら、何を毎日出てくんだ、その暇があったら対策を考えろって攻撃を絶対に受けるから。あ、そうか、それで男帝安倍さんは出てこないのか。やれやれ。
でも安倍さんにしろ、小池さんにしろ、全く対策を持っていないことは明らかです。

しかしマスコミも野党も全くだらしない。何らポジティブなことを考えられないのですから。例えばGo To Travel キャンペーンは愚策であると、すべてのマスコミが言っているようです。政治はすべて結果次第。その検証はしたのでしょうか? 今日は8月12日。キャンペーンが東京除外で始まったのは先月の23日でした。ほぼ三週間経ちました。Go To キャンペーンが始まり、それが悪い結果を出すなら、もうその兆しが見えていなければなりません。検証したいけど、検証の方法が解らず、専門家に頼ってしまっている。それが多くの論者の実態でしょう。しかしデータは統計データです。疫学とは関係なく科学的に取り扱えるのです。

効果を見るには、「感染者は相変わらず増えているじゃないか」じゃダメなことは、小学生でも解るでしょう。感染者はすでにしばらくの間増え続けているのです。増え方が増大したかどうかをデータを解析して見ることが必要です。Go To Travelキャンペーンがあったので、感染拡大が減ったなんてことは、およそ考えられないのですから。拡大の速さが速くなったか、特に変化は見られないかのどちらかでしょう。でもその前にこれまで半年の間データが蓄積したのだから、そのデータから何か学ぶことはないのかを何故考えないのでしょう。

そこでデータ解析を行ってみます。方法は二週間ほど前記事に書いた方法で、データはもちろんその延長上にあります。

>>コロナ感染者数の動的解析-日本とドイツの違いを見る

新規感染者数

全国

上記グラフは、先の記事でご説明した新規感染者数の全国版です。青線が日々のデータをそのまま使ったもの、赤線は動的な三日平均値を記したものです。また下にその東京版を示します。いずれも五月中旬には収束に向かっていたのに、六月中旬には再度増大に転じていることは皆さんご存じの通りです。でもその細部を知ることが、データで、したがって科学的に考える目的です。

東京

週増加率

増加減少の速さを詳しく見るために、週増加率という考えを導入しています。動的な三日平均値を、一週間前の値との比で表したもので、これが1より大きければ増大傾向、1より小さければ減少傾向を表します。まず東京の週増加率の変遷を見てみましょう。東京にジャンプ  東京以外にジャンプ

東京

東京以外で週増加率を見てみます。東京にジャンプ 東京以外にジャンプ

東京以外

東京にジャンプ

一般的な考察

新規感染者数に関しては、日々のニュースでグラフが示されており、大筋は皆さんご存じのことだと思います。
二月の下旬に感染者が全国で明らかに増え始め、緊急事態宣言が出され、その結果第一波のピークアウトが4月中旬全国でも東京でも観測され、5月下旬には全国民が、ほぼ第一波は収束したと考えました。
細かく見ますと、東京とそれ以外の地では、決定的な違いがあります。都道府県レベルで見ると、東京だけが毎日感染者を出し続けましたが、他の道府県では感染者数が0になる日も観測され、さらには多くの道府県では、感染者数0の状態が3週間以上続きました。
新規感染者数が0の日が、3週間以上続けば、それはその道府県からは、ウィルスが基本的に駆逐されたと考えて良い状態であり、都道府県をまたいだ移動を完全に遮断できれば、注意をしながらも、通常の生活を営んでも良い状態になっていたのです。これは押さえておかねばならぬ事実です。

週増加率の考察

次に週増加率を利用して考察をしてみましょう。この考察は独自の考察ですが、データを活用すれば、誰にでも解る考察です。そのために週増加率をしっかりと理解して下さい。それは難しいことではなく、非常に簡単です。その日の新規感染者数が、前の週の値と比べて何倍になっているかを見るだけです。前の同じ曜日の新規感染者数が15人であったのに、今日は30人であるとすれば、週増加率は2-要するに2倍になった-という訳です。ただし生データを使えば、偶然の凸凹に大きく左右されますから、直近の3日平均をとって、その日のデータとします。3日というのは特に意味はありません。4日でも5日でも良いですが、あまり長く取れば、現在の状況を判断するための特徴がうすれる恐れがあるかな、というだけの理由です。

日本では週増加率が3以上の日は一週間は続いていない

週増加率が大きな値で高止まりすると、それが本来の意味での感染爆発です。ヨーロッパ諸国やアメリカでは、週増加率が5以上で高止まりする状態が数週間続きました。そうすると最初10人だった感染者数が次の週には50人、二週間後には250人、三週間後には1250人四週間後には6千人以上と増加します。事実そのような状況が今年3月に欧米諸国で見られたのです。
一方日本の状況はそうはなっていません。まず第一に押さえて欲しいのは、週増加率が3以上の日は東京のデータで見ても、東京以外のデータで見ても、最大でも一週間以内、ごく短期で収まっています。
グラフで確認して下さい。東京とそれ以外ではスケールが倍ほど違っているのにお気をつけて。
>>東京の週増加率を見る

>>東京以外の週増加率を見る

東京とそれ以外では、週増加率が3以上になったのはどちらも5回と読み取ることが出来ます。どちらも第一波で3回、第二波で2回です。ある意味で似通っています

第一波の解析

東京

東京の最初の2回はあまり意味がありません。この時期東京の新規感染者は全国の中でも少なく十人以下でした。データの取扱は、ここも含めて統計的なものです。統計が意味を持つのは、数字が大きくなってからで、通常二桁にならないと意味を持ちません。最初の2回を無視していい理由です。

>>東京の週増加率を見る

三回目は重要です。この増加は偶然オリンピック一年延期の時期と一致しています。オリンピックについてのこの決定が下されたのが3月24日です。一方東京の新規感染者数は24日まで一桁かせいぜい十人台でしたが、25日からは毎日50人程度出るようになりました。これが全国の感染拡大の引き金となったのですから、問題視して考えないといけないのではないでしょうか? 24日までは安倍さんも小池さんもオリンピックのことで頭がいっぱいだった。25日から急にコロナに気をつけだして、PCR検査を拡充したのかもですよ。偶然の一致にすればできすぎという気がしますが。そして素早く気にし始めた都知事が、急にコロナ対策で騒ぎ出しました。これが都知事の功績みたいに考えるむきが多いようですが、その前の時期にオリンピックを気にするあまり、東京の感染増加を結果的に見逃した罪は大きいとは言えませんか? 私にはそちらの方が気になります。

東京以外

東京以外でも最初の三回はやはり第一波ですが、詳細が違います。一番目はピークも小さく短期でした。第二回目は先に考慮したオリンピック決定後の東京のピークより、わずか遅れて期間も長く続きます。そして第三の小さなピークに、そのまま続きます。つまりこの第二、第三は実は同じものであり、オリンピック延期決定後の東京の影響をもろに受けたものと考えられます。このころから東京の新規感染者数が、全国での大きな割合を占めるようになります。東京に牽引され始めたと考えて良いでしょう。その牽引の始まりが、オリンピック問題で遅れた対策が原因とすれば、先の責任は非常に大きいことになります。それは安倍-小池協同の責任です。

>>東京以外の週増加率を見る

第一波収束から第二波へ

緊急事態宣言が出され、それを受けて全国民が自粛生活に入りました。最初はそんなに緩い自粛でと懸念されましたが、意外にも効果は抜群で、新規感染者数が4月中旬には減少に転じました。週増加率を見てみると、週増加率は東京で4月17日に、東京以外では4月18日に1を切り新規感染者数は減少に転じます。私はこの経過を即時的に見ていました。そして千年文化を考える会のHPで直ちに指摘しました。その後順調に新規感染者数は減少します。
都道府県で状況は違いますが、新規感染者数が0になり、そのまま0が続く道府県も多く見られました。例えば京都でも、5月14日に一人新規に感染した人が出た後0が続き、6月6日に新しく一人出るまで、ずっと新規感染者は0でした。京都市から(府からも)ウィルスは駆逐されたと考えていい状況でした。そんな中順次緊急事態宣言が解除され、5月24日には全国で解除されたとき、日本では多くの人がウィルスを押さえたと思っていたでしょう。自粛の思わぬ威力に世界では「日本の謎」とか「日本の奇跡」という声が上がりましたし、安倍さんは「日本モデル」だと胸を張りました。この方が胸を張るとろくなことが起きない気がしたものですが。

改めてデータを見ると、全国解除のわずか2日後の26日、東京で決定的に週増加率が1を越えて、その後ずっと1以上が続きます。この頃はまだ東京以外では1以下が続いています。東京以外では決定的に1を越えたのは、6月半ばになってからです。明らかにすでに拡大に転じていた東京からの感染が、全国に広がり始めたのです。感染の「日本モデル」は、完全にトンチンカンな政府及び都の対応を指しているとしか言いようがないデータです。
>>東京の週増加率を見る

第二波での週増加率の考察

第二波での週増加率のピークも考えておきましょう。どちらも3を少し越える日が二日あるだけです。

東京では3を越えた日は5月30日と6月16日でした。つまり偶然ではないとすれば、それぞれ2週間ほど前の対応が悪かったことになります。つまり5月半ばから6月始めにかけての対応が、東京では悪かったことになります。この時期は東京の段階的解除とか、東京アラートとか、そんな時期に重なるのでは? 要は東京の対応の悪さがこの当たりに出てきている可能性が大きいのに、それを誰も指摘していないわけです。その後東京の新規感染者数は確実に増加していったのです。オリンピックと同様、東京アラートが東京の感染拡大の引き金となりました。

東京以外をトータルして、週増加率が大きくなるのは7月1日と7月5日で、それぞれ6以上3以上でした。この二つは基本的に一緒で、要は7月初旬に急に東京以外で感染が広がったことになります。つまり6月半ばの東京の対応の悪さで、全国に感染が広まり、それが今まで続いていることになります。6月半ばの東京に何があったでしょう。

また知事が出てきます。知事が東京アラートを理由なく解除し、都知事選出馬を決めたのが、この時期ではないでしょうか。それに伴って東京の人が押さえていた移動を開始したのではなかったのかな。そう見るとこの人感染拡大のきっかけを作り出す名人みたいに見えてきます。百歩譲って都民ファーストかも知れませんが、間違いなく国民ファーストではなく、国民に対しては国民ワーストな人ですね。初の女性首相候補なんてトンでもないことをデータが示しています。

データをちゃんと分析すれば明らかなこと、それはオリンピック一年延期決定以来、全国の感染を牽引してきたのは東京であるということです。これを間違えてはいけません。人口の割に多い県はどこだなどといって、ごまかしてはいけません。人口に比例して感染者が増えるなど、全く科学的根拠もない、えせ平等主義です。まぁえせ平等主義は、非科学的な態度からしか生まれませんから、えせ平等主義と非科学的態度は、同じことを言っているようなものですが。

科学的に考えれば、感染者数は人口に比例するのではなく、「人口密度に比例する」と常識では考えるでしょう。東京は感染者数が多いのは当たり前です。東京都民が悪いのではありません。東京集中を軽減しなければ、感染の世紀21世紀を乗り越えることができないのです。それが東京は諸悪の根元の真意です。

日本の絶望と救い

データを解析して解ることは上のようなことです。誰にでも手に入るデータで(事実私自身は特別なデータ収集の道は持っていません)、言い換えれば誰にでもチェックできるデータで、簡単な解析をしただけです。本記事のタイトルであるGo Toキャンペーンですが、始まって三週間ほど経つのに、特にひどくなった形跡は一切認められません。
もちろん例外もあります。沖縄は明らかにGo Toキャンペーンの悪影響を受けているでしょう。地域によって事情は違います。地域によって知事が住民の理解を得て方針をたてるべきだと、このブログでは一貫して主張しています。
頼りない政府、頼りないことに気もつかない東京知事、頼りないマスコミ、頼りない野党。絶望的です。
それでも希望がある。日本の感染者数の少なさです。これは週増加率の小ささに現れています。恐らく日本文化と社会あらゆる要因が、これに関与しているのでしょう。
たった今現在、東京でも東京以外でも、週増加率が1前後まで落ちています。これが1前後で推移すれば、一日の感染者数はある程度安定することを意味します。その状態をワクチン開発まで続けることが出来るのか? 日本が取り得る対策の一つは、その状態を皆がガマンしながら続けるという消極的な方法です。政府はそれをねらっているのでしょう。でもそれならそうだと、はっきり国民に伝えなければ。そしてそれが最良の方策であることを説明しなければ。
ただし、たった今現在の状態は、お盆休みを過ぎて確認を取る必要があります。何故なら今休日が多い状況で、感染者数が減少している(恐らくPCR検査が少ない)かも知れないからです。
今一つありうるのかなと思った方策は別の記事に書いています。
>>第二次緊急事態宣言の記事に行く
でも一番大切なことは、コロナに耐えて、コロナ後を見据えること。東京一極集中を直ちにやめ、輝かしい未来に向けて地域分散型社会へ舵を切ること、それを強く皆様に訴えていきます。

えねるぎぃっ亭南駄老でした。

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