驚愕ー電車が改善するエネルギー消費

内容

この記事では、日本に於けるエネルギー消費のうち、交通で消費されるものが非常に多いこと、それに対して、交通で消費される電気は逆に非常に少ないことを見ます。以上二つのことは、IEAが公表している図で解ります。二つの図を先に見たい人は下記のリンクで見て下さい。戻るためには左上のメニューバーの←で戻ります
>>日本のエネルギー消費のかなり多くが、交通で使われることを見る
>>電気エネルギー消費のごくわずかしか、交通で使われていないことを見る
まずデータから上の二つを認識することが重要ですが、さらに詳しくは、交通のエネルギーのうち、メインは石油製品でこれは道路上で使われていること(自動車類)、電気は事実上鉄道でしか使われていないことの認識が必要です。
つまり溢れるばかりの自動車社会は、持続的な光景ではあり得ないこと、持続社会建設には、電車活用を上手に進展させることが必要であると、データは物語っています。
それでは詳しく見ていきましょう。

石油ー最も多く利用されるエネルギー源

しっかりしたデータを活用してのエネルギー問題についての考察、ごく当たり前のことを、これまで日本はやってきませんでした。例えばあれだけCO2削減が叫ばれていたのに、この30年間日本では全くCO2削減が進んできませんでした。
>>クールビズが示す失われた30年を見る
エネルギー関係者は、恐らく自己の利益を守るために、すなおにデータに向き合うことはなく、またマスコミは文系だから理系のことは専門家に任せるという、今回のコロナ禍でも明らかになった基本的思考力をも振り捨てた態度を取って来ました。また一般の人に取っては、きちんとしたデータに取り組むハードルが高く、いずれにせよ、経済重視の立場からでしょう、エネルギー問題は現在危急の問題ではないと片付けられるしわ寄せを、ずっと続けて受けてきました。その結果、重要な問題が先送りにされました。
今回のコロナ禍では、もはや先送りは許されないことを、見る人が見れば解ります。
このブログでは、信頼置けるデータに基づいたエネルギー問題を、一般の人にも分るように考えて行きます。データをIEA(International Energy Agency)のHPから、Freeのものを取って示します。誰にでもオープンにされた大量の図の中から、日本での問題を浮かび上がらせるために、私が選んでブログに貼り付けていきます。複数の図を比べながら理解するのは、様々な角度から物事を考えるために必要であることは、皆さんお分かりでしょう。複数の図を比較するために、デジタル技術を利用します。リンクを用いて、望む図にすぐジャンプする方法です。そして元に戻るには、メニューバーの左上の←ですぐ戻ります。練習してみましょう。下のリンクで図-1を見て下さい。そして左上の←で、ここに戻ります。

>>図-1を見る

どうです。うまく行きましたか?それでは始めましょう。

皆さんに質問です。日本で一番多く使われているエネルギー源は何でしょう? 多くの人が電気と思うでしょう。データを見てみましょう。

図-1 最終エネルギー消費に於けるエネルギー種別の推移(日本)

日本に於ける最終エネルギー消費のエネルギー種別-1990年~2018年(IEAによる)

ご覧になればすぐ解るように、最も多く消費されているエネルギー源は、石油製品(oil products)です。二番目に多い電気(electricity)の、ほぼ倍の量を占めていることが、IEA(International Energy Agency)のデータから解ります。既述のように上の図を含め、この記事で示す図はすべて、IEAのHPから切り取ったもので、それもすべてFreeにアクセスできるページから切り取らせてもらいました。したがって膨大なIEAのHPの散策の仕方を知る人には、自由に見ることが出来る図になっています。エネルギー関係者や、関連マスコミの人がその気になれば、IEAのHPから自由に見れるはずの図だと言うことを、一般の方達はご理解下さい。
IEAの図は、ほとんどすべて、1990年~2018年の推移を表しています。ここでご紹介するのは、すべてそうだと言うことを、頭に入れておいて下さい。リーマンショック以前から、3.11を経て、現在に至る経緯が分るわけです。

上の図に戻ります。図はtotal final consumption by source, 1990-2018となっています。total final consumptionという言葉、ご記憶願えると幸いです。日本語では通常最終エネルギー消費と呼ばれます。またエネルギー量(縦軸)の単位はktoe(kilo tones of oil equivalent-キロ石油換算トン)です。この単位については、改めてご紹介します。石油業界の人が好んで使用する単位です。石油が一番多く、電気の二倍程度になっていることはすでに指摘しました。この二つの種別に次いで少ないながらも、天然ガス、石炭、そして非常に少ないながらも、バイオ燃料・ごみなどが続きます。おおざっぱに言って、最終エネルギー消費では、石油製品がその半分以上の60%弱、電気が30%弱、その他はすべて合せて10%強が消費されています。これも頭に入れておくほうが望ましいですが、いっぺんに覚えるのも、応用が利きにくくなるだけですから、徐々に理解してもらえばいいでしょう。

最終エネルギー消費に対して、一次エネルギー供給という概念があります。これも別のページで詳しく詳しく紹介しますが、この二つの概念は、エネルギー消費について、正しく理解するための鍵だと思って下さい。ここではエネルギー消費現場でのエネルギー消費が、最終エネルギー消費と考えていただければ、それで結構です。

ではエネルギー消費現場には、どのような場所があるのでしょうか? もちろん家庭は重要なエネルギー消費現場です。また仕事場ももちろんそうです。しかし仕事場は、人それぞれ異なっています。第二次産業(工業)なのか、第三次産業なのか。また交通も大きなエネルギー消費現場です。これらは消費部門が違うとして、最終エネルギー消費を、エネルギー種別とは別の視点で分類することになります。これもIEAのHPからグラフを切り取って見てみましょう。

図-2 部門別最終エネルギー消費の推移1990-2018日本

日本に於ける最終エネルギー消費の分野別の変遷-1990年~2018年(IEAによる) 特にtransportに注目

これで見てわかるように、日本では部門別で見ると、工場(Industry)が最もエネルギー消費が大きいという、まあ一般の人も想像しやすい結果が出ています。工場では石油製品も、電気も消費されます。また石炭もコークスとして消費されます。製鉄などに必要となっています。

二番目に多いのは、多くの人が予想外だけどそうだったのか・なるほどと思うのではないでしょうか? 交通(Transport)ですね。自動車、飛行機、電車、様々な移動手段を現代人は使っていますが、日本では工場の次に多いのがこの交通の部門となります。そしてエネルギー種別として石油製品が多い理由も解るでしょう。自動車などは石油を使いますよね。
交通部門のエネルギー消費は、世界でも多いですよ。アメリカなどでは工業を押さえて一番多くなっています。

この二部門の後、第三次産業(Commercial and public services)、家庭(Residential)、非エネルギー利用(Non-energy use)、が続きます。この三部門は、ほぼ拮抗しています。特に20世紀末までは、家庭部門が第三次産業を上回っていました。実は世界中を見ても、第三次産業が家庭より多いのは、日本くらいでしょう。指摘されることがない日本の異常さの一つです。また非エネルギー利用とは、聞き慣れない言葉でしょうが、化石燃料特に石油の非エネルギー利用で、これはプラスティックなどの素材生成として消費されるエネルギー源のことを言います。

以上が消費の主たる部分をなし、農林業や漁業ではほとんど無視できるくらいの値しか消費されていないことが解ります。このような第一次産業を守るため、第一次産業でのエネルギー消費は全額無料にして、国や自治体が払っても、大した金額にはならないわけです。

さてこの記事ではもう一つグラフを見てみます。電気消費を部門別に見ます。改めて断っておきますが、エネルギー消費と言えば直ちに電気と考えることは間違いであることを、最初の図が示したのですね。

図-3 部門別電気エネルギー消費の推移1990-2018-日本

日本に於ける電気エネルギー消費の分野別の変遷-1990年~2018年(IEAによる) 特にtransportに注目

どうです。びっくりしませんか? 電気エネルギー消費が一番多いのは工場です。これは最終エネルギー消費全体と同じ構造です。しかし二番目と三番目には、第三次産業・家庭がそれぞれ来ます。
そして最終エネルギー消費全体で見ると二番目だった交通が、極端に小さくなって第四位に来ます。もちろん電気はエネルギー以外には使えませんから、非エネルギー利用はありません。transportの電気の小ささを、最終エネルギー消費全体と比べて見て下さい。この記事の最初に練習したやり方の応用です。戻るには←で。

>>分野別の最終エネルギー消費を見る

>>分野別の電気エネルギー消費を見る

>>最終エネルギー消費の種別を見る

交通の電気は電車が消費する

交通の電気と言えば、電車か電気自走車と言うことになります。電気自動車はどれだけ普及しているのでしょうか? 実はデータをやはりIEAで細かく調べると、交通の電気は、すべて事実上鉄道で消費され、自動車で消費されているのは、無視できる値であることが解ります。表で見てみましょう。IEAが示す2017年日本の値です。

  • Road(道路)で消費される交通エネルギー     62.5 Mtoe
    • 石油製品                  62.0 Mtoe
    • バイオ燃料・ごみ              0.4 Mtoe
    • 天然ガス                  0.1 Mtoe
  • Rail(線路)で消費される交通エネルギー       1.7 Mtoe
    • 電気                    1.5 Mtoe
    • 石油製品                  0.2 Mtoe
  • 国内航空で消費される交通エネルギー       3.5 Mtoe
    • 石油製品                   3.5 Mtoe
  • 国内船舶で消費される交通エネルギー       3.1 Mtoe
    • 石油製品                  3.1 Mtoe
  • 電気自動車は2017年の時点では、統計にしっかりと表れるほどには、まだまだ実際に稼働していないのだと解ります。ただし電気自動車のプラグは、家庭で繋がれることが多いでしょうから、家庭での電気エネルギーに入っているかも知れません。それでも近年家庭の電気の伸びは第三次産業に比べて多いとは言えません。電気自動車は話題になった割には、普及していないと言えるのではないでしょうか?日本のマスコミを通じたやってる感は、ここにも現れていると言えそうです。

いずれにせよ上の表は、交通のエネルギーのほとんどが、道路上で消費され、それも大部分が石油製品であると解ります。電気は鉄道で消費されますが、鉄道では一部石油製品も使われることがデータ上解ります。これはむろん電化されていない鉄道で、ディーゼル車が走行しているためです。ディーゼル車の割合は、ずっと小さいはずですが、エネルギーで見ると石油が鉄道のエネルギーの12%を占めています。それだけ電気にすればエネルギー消費が少ないことを表します。
それにしても印象的なのは、日本では新幹線や大都会の通勤電車があれほど発達していても、鉄道のエネルギー消費が非常に少ないことです。これはもっと知られていいことで、主たる交通機関を鉄道へと変えていけば、日本のエネルギー消費が大幅に減少することが予想されます。
日本の地方都市の遅れは、自動車を使わないと生活が出来ないことにも現れています。コロナ禍の後、地方分散型社会を築いて行かなければなりませんが、その第一歩として、生活に密着した電車(路面電車-LRT)を、充分な住民理解の上で、各地の地方都市で始めるのが良いのではないでしょうか?
LRTについては、別の記事で紹介しています

>>LRTの記事を読む


鉄道のエネルギー消費の少なさは、初等物理学的に説明が出来ます。それは鉄道の上を鉄車輪で走行するので、運動に対する摩擦を大幅に小さく出来ることにあります。別の記事で詳しく取り上げましょう。

まとめ

IEAのデータから、最終エネルギー消費の大きさを調べました。エネルギー種別では、電気よりも石油製品の方が、二倍も大量に使われています。エネルギー=電気と考えると、エネルギー政策を誤ります。
石油製品の消費の大きさは、多分に道路上の交通の多さにあります。地域分散型社会の手始めとして、地方都市にLRTを、市民合意の上各地に敷設することが、アフターコロナの社会を切り拓く、大きなきっかけとなるでしょう。

えねるぎぃっ亭南駄老でした。

IEAのHPからこの記事の図を探す

この記事に興味を持って頂いた方は、よければIEAのHPから原図を見つけて下さい。意外と簡単ですよ。まずIEAのHPに入ります。
>>IEAのHPはこちら
またはIEAで検索しても良いですね。
次に上部メニューバーのDATAを選びます。少し下にスクロールすれば、横並びに3個プルダウンメニューが並んでいます。左のメニューからenergy consumptionを選び、右のworldとあるところにjaと入れるとjapanが出てきますから、それを選びます。最後に真ん中のメニューからtotal final consumptionを by sectorを選べば、このページの二番目の図が出てきます。
そのままの状態から、total final consumption by sourceを選べば、一番目の図になります。
左のメニューで、electricity and heatを選び、真ん中のメニューでElectricity final consumption by sectorを選べば、三番目の図になります。簡単でしょう。また原図ではカーソルをグラフのカーブの上に持って行けば、数値が出てきますから、数値を知りたいときは是非原図で見て下さい。

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