熱って何だろう

熱エネルギーはエネルギーの最終形態である

熱って何でしょう。コロナ禍の中でも「熱があったら家で休んで下さい」と言いますね。この場合熱とは体温が高い状態を表します。このように熱と温度には、日常の用語でははっきりした区別はありませんね。
でもこの文のイメージを考えて見ましょう。「熱がある」とは温度を上げるものがあるニュアンスがあるとも考えられます。温度を上げるものが熱である、そう捕えることもできます。火を燃すと熱が出る⇒火を燃すと温度を上げる何かを出す・・。
科学的な思考をするとき、熱と温度ははっきりと区別をしなければいけません。その証拠として、温度は測る装置がありますが、熱には計る装置はないでしょう。一方日常会話で、今日は熱が8度5分あるといったとき、この熱は温度のことです。
科学的な考察をするとき、熱は熱エネルギーとして、エネルギーの一種であると考えます。熱と温度は全くの別物になります。そして混乱を避けるために、熱エネルギーとはっきり言います。
それではエネルギーって何でしょう。それについては、すでに記事にしました。これを押さえておかないと、このブログ全体の意味がなくなってしまいます。是非ご一読下さい。何、難しくありません。
>>エネルギーって何だろうの記事を読む
そこで書いたように、熱エネルギーはエネルギーの最終形態です。すべてのエネルギーは、様々に形を変えますが、最後には熱エネルギーになります。例えば100W(ワット)の電気製品があるとしましょう。それはテレビかも知れませんし、電灯かも知れませんし、また掃除機かも知れません。それぞれが目的に応じたエネルギー、例えば光エネルギーや音エネルギーあるいは運動エネルギー、に代わりますが、最終的には熱エネルギーになります。したがって100Wの電気製品はスイッチが入った場合、100Wで電気エネルギーを消費しますが、最終的にどれもが100Wで熱エネルギーを放出することになります。人は一日に2000kcalのエネルギーで活動しますが、これを秒単位で考えると100Wである計算となり、人も100Wで熱エネルギーを発生します。この意味で、人一人と100Wの電気製品一台は、どちらも100Wで熱エネルギーを生成します。

閉じた空間での熱エネルギーの発生は、空間の温度を上げる

冬寒いときストーブで部屋を暖めます。こうして熱は温度を上げる何物かというイメージを持つことが正当化されます。例えば電気ストーブ。家庭用の電気ストーブは800W程度のものが多いようです。
ストーブを使うのは部屋を暖める為です。つまり部屋の温度を上げるためです。もし800Wのストーブを2台つければ、2倍の熱エネルギーが発生しますから、それだけ部屋の温度が上昇しやすくなります。
冬寒いとき同じ部屋に16人の人が集まったとしましょう。一人100Wで熱を発生しますから、合せて1600W、つまり電気ストーブ2台と同じ効果を持ちます。大勢の人が集まると部屋が暖かくなるのは、こうしてその理由が分ります。満員電車が冬でもエアコンを入れて、冷房するのは、同じ理由に拠ります。
このようにして熱は温度と関係します。熱エネルギーを与えると、温度が高くなります。

火力とは

火力発電という言葉があります。何故火力というかは、火を使うからですね。火を燃すと熱エネルギーが発生します。そこで燃焼室の温度が上がります。

高温部から低温部に熱エネルギーは流れる

熱エネルギーで大切な性質があります。それは高温部から低温部へ熱エネルギーが流れるということです。
これは様々な自然現象を引き起こす基本的なメカニズムです。例えば私たちの体は常に100Wで熱エネルギーを放出していますが、これを体内に留め置けば、私たちの体自身の温度、すなわち体温が上がり生命の維持に支障が出ます。そこで体温を一定に保つために、熱エネルギーを100Wで体の外部に流してあげないといけません。そのため別の記事で説明したように、私たちは外気温に合せて服を調整し、また外気温が高ければ、汗を出して汗の蒸発で熱を外部に逃がします。物理学的な側面の理解も熱中症を避けるのに役に立ちますよ。
>>熱中症と汗の記事を見る
いわゆる気象も熱エネルギーの流れと捕えることが出来ます。様々な仕組みで温度が高い場所から、温度が低い場所へと熱エネルギーの流れが生じます。

産業革命期、蒸気機関の発明で工業が発達した

産業革命の最大の発明は蒸気機関でしょう。火の力を動力に変えることに成功したのです。それまでの火は、ものを暖めることにしか使われていませんでした。エネルギー関連の技術者に必須である熱力学創設に、大きな貢献をしたカルノーの論文の題は、火の動力についてでした。火の動力とは、現代では多くの人が違和感を覚える言葉でしょうが、温度を上げる以外の目的で火を使い始めたのは蒸気機関であり、蒸気機関は火のエネルギー(熱エネルギー)を、動力のエネルギー(各種運動エネルギー)に変える手段で、熱エネルギーを他のエネルギーに大々的に変える最初の例でした。現代では火のエネルギーを電気エネルギーに変える装置として、火力発電機があるわけです。蒸気機関と火力発電は、エネルギーから考えると、同じ原理に従っています。
蒸気機関をどこまで改良できるかを、理論的に解明することが、カルノーの問題意識でした。際限なく改良できるのか、それとも自然法則の中に、避けられない限界があるのか、それを突き止めようとしたのです。そのため考え出した理想的なエンジンがカルノーサイクルと呼ばれます。理工系の大学を出た人は、必ず習ったと思います。そして恐らく90%以上の人が、解ったような解らなかったような、煙に巻かれた感じを持っていると思います。
そのようなカルノーサイクルをここで説明しようとは思いません。しかしカルノーサイクルで重要なポイントをここで述べたいと思います。

熱エネルギーをすべて他のエネルギーに変えるのは不可能である。

カルノーの着眼点を現代の目から見直せば、熱機関とは、熱エネルギーが高温部から低温部に流れるとき、その一部を他のエネルギーに変える機械であることでした。ただし彼自身はこのような形にまとめているわけではありません。何故ならエネルギー保存則はまだ確立しておりませんから、エネルギーを前面に押し出した言い方は彼はしていないのです。でもそれじゃ一般の人に理解してもらいにくくなります。ここでは思い切り解りやすく説明を試みます。しかし間違った解説ではありません。イメージ的な説明に徹します。
イメージとしてまず持って頂きたいのは、高温部から低温部への熱エネルギーの流れです。そしてその一部だけが分流して、他のエネルギーに代わるというイメージです。決して全部はあり得ない。それどころか、かなりの部分、多くの場合は大部分、そのまま熱エネルギーとして低温部に流れ込むのです。低温部に流れ込んだ熱エネルギーは、もちろん低温部の温度を上げる働きをします。
高温分から低温部に流れる熱エネルギーの内、他の(目的の)エネルギーに変わった量の割合を効率と言います。日本では火力発電が主たる発電手段ですが、日本の火力発電の平均の効率は40%です。残りの60%の熱エネルギーは、低温部に捨てられます。
低温部としては、通常比熱が大きいものが選ばれます。比熱が最大のものは水ですから、低温部は通常海になります。大規模火力発電所の存在場所を調べて見れば、日本ではすべて海辺にあります。これは海が低温部になっているのです。日本ではもちろん莫大な量の電気が、火力発電によって発生しています。そのため莫大な化石燃料が燃されます。発生した熱エネルギーの内電気になるのは40%です。残りの60%は海に捨てられます。これはエネルギーの法則を知っている人には誰でも解る構造ですが、誰もそれを指摘しません。物理学者は社会的なエネルギー問題の専門家ではないし、社会的なエネルギー問題の専門家は、エネルギー消費の負の側面は出来るだけ考えたくないし。でも以上の考察はエネルギーの基本に基づいています。
日本近海の温度が上がるのも、当然ではないでしょうか? 日本近海の温度が上昇しているのは、実際に観測されていますし、海水温が上昇すれば魚の分布も変わります。また豪雨が増えます。すべてが近年実際に起こっていることです。
原発はこの意味ではもっと悪くなります。原発の効率は火力発電より低く、約1/3しかありません。言い換えると核燃料が消費されて発生する熱の1/3が電気になりますが、のこり2/3は海に捨てられます。発生する莫大な電気の、二倍の量が海に捨てられるのです。原発のごく近海には熱帯地方の魚が住み込んでいますが、原発が止まってからはそのような魚は見なくなったと、3.11の直後にはいくつかの週刊誌が取り上げていました。これは当然なのです。少なくとも私は驚きません。

まとめ

熱はエネルギーの一形態です。熱エネルギーはエネルギーの最後の形態です。閉じた空間に熱エネルギーが増えると、その空間の温度が上がります。熱エネルギーを他の形のエネルギーに代えるときの限界を研究したのはカルノーです。カルノーは熱エネルギーを他のエネルギーに変えるときには、温度差が必要であることに着目します。高温部から低温部へと、熱エネルギーの流れが出来ます。この熱エネルギーの内一部だけが、他のエネルギーに変わります。

えねるぎぃっ亭南駄老でした。

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